住宅耐震化率の実情と課題。

2017年01月28日 : saito

近年の大地震に際して、47都道府県は、早急に住宅の耐震化の向上を目指して、各年度の耐震化率の目標を設定していました。最近の、朝日新聞社のアンケートによると、2015年度までに目標としていた住宅の耐震化率に達成困難だと41都道府県が回答していました。実際その中の19都道府県は2015年度の達成化率推計で達成に至らなかったようです。達成困難の要因としては、改修費の高さや耐震化への関心の関心の低さを上げていました。

財団法人-日本建築防災協会「住宅・建築物の耐震改修のすすめ」-2

住宅耐震化率とは、全住宅のうち「耐震性あり」と考えられる割合で、サンプル調査をもとに住宅・土地統計調査より、各都道府県が推計しています。また、建築基準法の改定により、1981年以降の住宅や耐震改正された住宅は「耐震性あり」とみなし算出される。そのため耐震性能の経年劣化は考慮していないので、現実的には耐震性ありと判断されている住宅の中にも「耐震性能が一定の性能を発揮しないもの」も含まれていると思われます。(財団法人 日本建築防災協会「住宅・建築物の耐震改修のすすめ」 2013年版 2015年版 )

地方自治体主導でのこうした取り組みは競争、責任、重要性の向上が難しくなかなかうまく進まないのが現状です。
例えば、民間企業に業務委託して、価格の競争・達成率向上・認知の向上をうまくコントロールして行えば、企業側も利益を得ることができビジネスチャンスになるべく積極的に参入し、普及するのではないかと思います。

既得権益を握っている企業だけが参画出来るようなルールや、規制を敷かれていると民間企業が新規参入できない障壁となってしまう点もあることでしょう。何か早急に事をなさなければいけないのであれば、規制緩和をし、自由に競争できることが民主主義であると共に、早期耐震化達成への道筋だと思います。

一方で、達成困難とする要因の中にある「耐震化への関心の低さ」については、特に高齢者や単身世帯で多く、「リスクを負っても構わない」ととらえているようです。ご自分の意見としてはだれにも迷惑をかけないという気持ちでしょうが、実際地震になって住宅が倒壊した場合、避難の遅れや、緊急車両の通行を妨げたり、住民の救助活動やがれきの撤去作業など、自衛隊をはじめ多くのボランティアの方など多くの人がかかわってきます。

こうしたことを考えるとやはり耐震化は、そこに住む人の責任でもあると考えることもできます。
特に都市部などの住宅密集地では、近隣で耐震化を進めないと意味をなさないのではないでしょうか?
個人で考えていくことも大切ですが、地域コミュニティが団結して意識を変えていくことも必要ではないかと思います。

03_1_住宅耐震_届かぬ目標

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