マイナンバー制度を考察してみました。

2017年05月26日 : saito

2016年マイナンバー制度がスタートしました。
改めてマイナンバーについて考察してみました。

●そもそもマイナンバーの目的は!?

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国がマイナンバー導入に踏み切った理由としては、国民全員に番号を付与することによって、公正・公平な社会の実現とともに、社会保障や税金および災害対策の一元化を図り、行政サービスの効率化・利便性の向上を図るためだといわれています。もう一方で、個人の資産状況を把握し、税金および社会保険料の徴収を厳しく取り締まり、取りこぼしを無くそうという目的もあります。
そうした目的とは別に、新しいシステムの導入でIT関連企業の経済効果は2-3兆円とも言われておりました。行政から民間にもマイナンバーシステムが導入された場合はさらなる経済効果も見込まれることでしょう。

総務省 マイナンバー情報 http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/01.html
内閣府 マイナンバー情報 http://www.cao.go.jp/bangouseido/

●マイナンバーの管理(情報漏えいに関して)

現状においてマイナンバーの利用は「税金」と「社会保障」の分野に限定されているいますが、将来的にはマイナンバーの適用範囲は、「医療」「金融」といった分野への拡大も検討されています。もしそうなった場合には様々なリスクが予想されます。

たとえば、いわゆる「名簿業者」に知られてしまうと、マイナンバーからその人の病歴や資産状況、場合によっては家庭・職場といった情報を読み取られる可能性が生じてきます。

マイナンバーは、原則として一生変更されることありません。一度漏れてしまうと、知らない所で勝手に利用される可能性があるので十分な注意が必要です。

こういったリスクに備え、国は対策をを講じています。

・「マイナンバー法」の制定、情報漏洩に関する罰則の強化
マイナンバーを取り扱う事業者が情報を漏えいさせた場合には、最高で4年以下の懲役又は200万円以下の罰金という罰則規定が設けられる。(各法人側でもこれに対する対策として、システム導入が必要になるかもしれません。)

・2017年より「マイナポータル」というWEBサービスが開始
自分のマイナンバーの利用状況を確認する事が出来るため、知らないところで勝手に利用さていないかをチェックする事が可能となります。利用に際しては、専用のカードリーダー(2,000円~3,000)を自己負担により購入する必要があるようです。

マイナポータル
https://myna.go.jp/SCK0101_01_001/SCK0101_01_001_InitDiscsys.form

●不動産オーナーとしては

■不動産オーナーのマイナンバーの提示

不動産オーナーに限らず平成28年分の確定申告(平成29年3月15日申告期限)から、税務署へ提出する確定申告書へ自身のマイナンバーを記載することが必須になります。又、配偶者控除や扶養控除を受ける場合には、配偶者等のマイナンバーも合わせて記載する事が必要です。

それ以外のケースは、特に法人を相手に賃貸物件を貸しているケースでは、税務署に対して支払調書(「不動産の使用料等の支払調書」)という形で報告する必要があります。その際この「支払調書」に貸主である不動産オーナーのマイナンバーの項目が含まれているため、マイナンバーを教えてくださいと提供を求められることになります。法的には支払調書にマイナンバーを記載する義務がありますので、借主である法人にマイナンバーを提供しなければいけません。

余談ですが、平成28年1月1日以降に発生した相続に係る相続税の申告書には、被相続人だけでなく相続人全員のマイナンバーの記載が必要になります。
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■預金口座などに関するマイナンバーの登録

平成30年以降に預金口座にマイナンバー記載が任意で開始されます。さらに平成33年を目途に義務化も考えられていますので、生前贈与含め親族間でお金を異動させる場合には注意が必要です。税務署による預金口座の監視体制は存在していましたが、今後はより厳しいものになることが予想されます。当然のことながら申告漏れが無いように、より一層の注意を心がけることが必要になってきます。

また、証券会社に証券口座をこれから開設する方や既に開設している方も平成28年より当面は任意(平成30年末までに登録必要)でありますが、証券口座にもマイナンバーの記載が必要になります。

さらに保険会社から一定金額以上の保険金や年金等を受け取る際にも保険会社から税務署へ支払調書を提出するため、ここにもマイナンバーが必要になります。

■法人(法人番号)の社会保険加入チェック

不動産オーナーの中には、不動産管理会社を設立して法人化している所も多いかと思います。原則として、すべての法人は社会保険(協会けんぽ、厚生年金)への加入が義務付けられています。しかし、一説によると全国で約70万ヶ所の事業所が、社会保険未加入の状態とも言われています。社会保険への加入は当然の義務ですが、一方で保険料の負担が高額であることも事実です。
今回のマイナンバー導入で、法人にも法人番号が付与され公開されていますので、社会保険加入チェックも容易になるものと思われます。

法人番号チェック
http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

今後本格的な導入に際して、個人として、不動産オーナーとして、法人としてそれぞれの立場でどう対応していくのか、今からしっかりと事前に準備して対応の遅れや課題や問題が起こらないように対応していくことが大切ではないでしょうか?

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