野口健さんの生き方

2018年10月13日 : saito

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画像参照元サイト:https://www.sankei.com/column/news/180920/clm1809200005-n1.html

積水ハウスから発行されている季刊誌に、
アルピニスト野口健さんのインタビューが掲載されていました。
とても素晴らしい内容でしたので、今回はこちらを紹介したいと思います。

以下、積水ハウス株式会社発行「メゾナー」2018年秋号より抜粋
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「偉業だと思ったことは一度もないんです。だって、山登りって究極の遊びですから」
軽妙な口調で野口さんはそう話す。けれど、その”究極の遊び”の最中に、
命に関わるピンチに遭遇したことは一度や二度ではない。
2011年にはエベレスト登山中に雪崩に巻き込まれ、首を損傷する壮絶な怪我も負った。
「3年間は、日常生活もままならなかった。ヒマラヤだけでも50回以上登っているから
正直もうそろそろいいかな、という思いもあって。大怪我した今なら、
引退を宣言しても誰も何も言わないだろうと考えたんですけどね」

中略

「3年前、すごく仲がよかった仲間と『僕らだけは大丈夫だよな』と話していたのに、
その2人が今、この世にもういない。そうなると、僕も例外じゃないと思うようになりました」
それでも登り続ける道を選んだのは、仲間が亡くなるたび、
「彼らの分をどう生きるか」と自らに問いかけてきたからだ。
「先日も親しかった登山家が35歳という若さで亡くなりました。
来年は彼の雪辱を果たすため、エベレスト登頂を目指さなければ、
という気になっていますね」
仲間の死は無駄にしたくない。その思いから、
彼らの死から得た教訓はいつも念頭に置いている。
「極限状態の中で追い詰められると、特に日本人には滅びの美学があるからか、
自分を追い込んで悲壮な決断をしてしまうところがある。
それを教訓にして、僕は自分に期待しすぎず、追い詰めないようにしています。
とはいえ、できる範囲で最大限の無理をしなければ登頂はできません。
だからちょっとだけ無理をして、それで成功したら次はもうちょっと無理ができる。
その繰り返しが、やがて大きな実を結ぶと思うんです

一生懸命何かに打ち込めば自分の使命が見えてくる
命をかけて山々に挑み続ける一方で、野口さんは、エベレストや富士山での清掃活動、
テント村の運営、フィリピンや沖縄での遺骨収集といった活動も精力的に行っている。
ときには「登山家の仕事ではない」などと揶揄されることもある。
だが、こうした活動は「どれも、山を登ってきた延長線上に見つけたもの」と語る。
そして今、野口さんは、点と点が一つの線になってきた手応えを感じている。

目の前のことに真剣に取り組んでいれば、
自分のやるべきことが自ずと見えてくるというのが僕の持論。
山を登ってきたから、ほかの活動も自分の使命だと感じて続けてきた。

そう考えれば、山はやはり、僕の軸であり、背骨のようなものなのでしょうね」
たとえばフィリピンでの遺骨収集は、エベレストからの帰還中に、
歩けなくなった同行者を一人残して下山したことがきっかけだ。
「第二次世界大戦時、多くの部下を戦地に残し帰国した祖父が、
晩年まで『自分だけが無事に帰り、長生きしているのが辛い』と悔やんでいました。
僕も親しい仲間を泣く泣く山に残したことで、祖父の思いに触れた気がして、
祖父からの宿題のつもりで遺骨の収集を始めました」

中略

自分が充実していてこそ社会のための活動ができる
「しばらくヒマラヤから離れていた時期があって、
そのぶんのエネルギーは別の活動にシフトすればいいと思っていたんです」
ところがヒマラヤから離れていると、エネルギーがどんどん減ってくるのを感じた。
同時に、このままエネルギーがなくなると、
「無気力になってしまうんじゃないか」と危機感を覚えたという。
「酸素が薄く、テントの中でもガタガタ震えているような過酷な雪山から、
エネルギーをもらっているなんて不思議ですね。
でも、たとえば登山以外の活動をしていると『がんばれ』といってくれる人がいる一方で、
反対する人もいます。それにずっと辛抱していると、
防衛本能が働いて感情がどんどん乾いてくるんです。
そんなとき、ぽーんと山に飛ぶと内向きだった心が外に向く。
さらに山の中を歩いていると、脳の血流が良くなるのか、
全く新しい考え方ができるようになることがあります。
自分自身の気力が充実してこそ、社会のための活動にも力を注ぎ込める。
だから、僕にはそのパワーをくれる山が必要なんだとつくづく思います

以下略
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自らも命に関わるような大怪我を負った経験もあった上で、
自分は山からエネルギーをもらっていると感謝ができ、
怪我を克服して山に登り続けているその生き方にとても感動しました。

自分の信念を持って真剣に活動し続ける野口健さんを
これからも応援させて頂きたいと思います。

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