今年4月(2018年4月)より中古住宅の売買契約時に住宅診断の説明が義務化することになりました。背景としては、中古住宅の売買時に物件の不透明性を解消し、消費者に安心感を与え、中古住宅の売買の活性化を図ること目的としています。
2016年5月に「宅地建物取引業法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」として以下の内容が閣議決定され、2016年12月16日にそのスケジュールが公布され、建物状況調査に関しては2018年4月1日に施工されという内容でした。
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「宅地建物取引業法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」
■媒介契約の締結時に建物状況調査(いわゆるインスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の依頼者への交付(第34条の2第1項第4号)
■買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明(第35条第1項第6号の2の新設)
■売買契約等成立時に建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付(第37条第1項第2号の2の新設)
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000130.html
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不動産会社が中古住宅売買の仲介業で実施しなければならないことは、上記の3点です。
一点注意が必要なのは売主および買主が建物状況調査を依頼することが大切です。あくまでも調査説明を行うことを義務化しているわけです。中古住宅を比較検討する際には建物状況調査を行っているかどうかも検討材料にされてはいかがでしょうか?
実際のホームインスペクションのガイドラインによると検査内容・対象・項目は以下になります。
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[ 現況検査の内容 ]
■現況検査の内容は、売買の対象となる住宅について、基礎、外壁等の住宅の部位 毎に生じているひび割れ、欠損といった劣化事象及び不具合事象(以下「劣化事 象等」という。)の状況を、目視を中心とした非破壊調査により把握し、その調査・ 検査結果を依頼主に対し報告することである。
■現況検査には次の内容を含むことを要しない。
① 劣化事象等が建物の構造的な欠陥によるものか否か、
欠陥とした場合の要因が 何かといった瑕疵の有無を判定すること
② 耐震性や省エネ性等の住宅にかかる個別の性能項目について
当該住宅が保有 する性能の程度を判定すること
③ 現行建築基準関係規定への違反の有無を判定すること
④ 設計図書との照合を行うこと
[ 検査対象について ]
■現況検査における検査対象の範囲は、以下を基本とする。
○ 現場で足場等を組むことなく、歩行その他の通常の手段により移動できる範囲
○ 戸建住宅における小屋裏や床下については、小屋裏点検口や床下点検口から目 視可能な範囲
○ 共同住宅においては、専有部分及び専用使用しているバルコニーから目視可能 な範囲
[ 検査項目 ]
■検査項目は、検査対象部位と確認する劣化事象等で構成され、劣化事象等につい ては部位・仕上げ等の状況に応じた劣化事象等の有無を確認することを基本とす る。
■確認する劣化事象等としては、以下を基本とする。【詳細については別紙参照】
① 構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの
(例)蟻害、腐朽・腐食や傾斜、躯体のひび割れ・欠損等
② 雨漏り・水漏れが発生している、又は発生する可能性が高いもの
(例)雨漏りや漏水等
③ 設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの
(例)給排水管の漏れや詰まり等
詳しく「既存住宅インスペクション・ガイドライン」
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あくまでも目視や触診での検査となりますので、万能で完ぺきというわけではありませんので、目視できない部分、触診出来ない部分もあることを考え、検査を受けたうえで万が一のためにも「既存住宅売買瑕疵保険」などに入っておいたほうがいいでしょう。
住宅を購入・検討する際は様々な不動産を見て、希望や予算に合う気に入った物件を探したいというのが誰しもが思うことだと思います。不備や瑕疵がある物件を選択しないよう、専門家に依頼して安心して、納得のいく物件に出会っていただきたいと思っています。