どうなる?2022年問題

2018年11月19日 : saito

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画像参照元:https://tochikatsu-hatake.com/blog/3

営農義務が終了し、膨大な面積の生産緑地が解除されることで、
土地価格の急落が懸念されている「2022年問題」を
今回は取り上げたいと思います。

生産緑地に指定された農地は30年間の営農義務があり、
その期間中は農業用地として活用しなければなりません。
その代わり、固定資産税や相続税などで大きな優遇が受けられます。
1992年に生産緑地に指定された農地は、
現在の生産緑地の約8割と言われています。
2022年以降に生産緑地の所有者が農業に従事できなくなり、
自治体や生産緑地として購入する者が現れない場合は
生産緑地指定が解除されます。
生産緑地が解除されると、これまで優遇されていた
固定資産税が数百倍に跳ね上がるため、土地の所有が難しくなり
農地を宅地として売却することになってしまいます。
その結果、膨大な面積の土地が同時期に
宅地として市場に出回ることになり、土地価格の暴落や、
空き家の件数も今以上に加速するなど、様々な問題が懸念されています。

そういった問題を事前に防ぐため、
多くの生産緑地の指定期限が切れる2022年以降も
生産緑地として継続できるように
2017年6月に緑地法が一部改正されました。

改正内容をまとめると以下のようになります。
・生産緑地解除のための買取り申請の延期制度を新設。
→「特定生産緑地制度」と呼ばれ、10年の延長が可能というだけでなく、
再延長もできる制度となるようです。

・案件面積を500平方メートルから300平方メートルに引き下げ。
→面積が足りず今まで生産緑地として認められていなかった農地も
条例を通じて生産緑地が適用できるようになります。
さらに街区内に複数の農地がある場合は、一団の農地等とみなして
生産緑地としての指定を可能にしていくようです。

・生産緑地地域内で直売所や農家、レストランなどの設置が可能に。
→今までは農業用施設のみが認められていましたが、
これにより利益を出しやすくし、生産緑地の維持につなげる狙いのようです。

また、2018年6月に国会を通過した
「都市農地の賃借の円滑化に関する法律案」が
実施されることになると生産緑地を持っている人が、
生産緑地を他の人や企業に貸しやすくなります。

今までの生産緑地の賃貸契約は自動的に更新がされる、
いわゆる法定更新制度が適用されていたため、
生産緑地を貸し出したら返ってこないのでは
という不安がありました。
今回の法案が通ると、この法定更新制度の適用が
除外されることになります。
それにより農地の返却時期が調整しやすくなりました。

また、今までは生産緑地を相続した際の
相続税の納税猶予を受ける際には、
所有者本人が生産緑地の管理をする必要がありました。
他人に生産緑地を貸し付けた場合、
納税猶予が打ち切られてしまい、
すぐに相続税を払わなければなりません。
しかし相続税は莫大な金額となることが多いことから、
実質生産緑地の貸し付けをしたくてもできない状況でした。
新制度では、生産緑地を他の方や企業に貸し付けても
納税猶予を受け続けられるようになります。
これにより相続税の猶予を現状受けている生産緑地でも、
貸し付けがしやすくなり、都市部の農地を農業に
意欲的な企業や団体に貸し出すことで、
都市部に農地を残すことが可能になります。

緑地法の改正や新たな法律案の提出など、
政府も2022年問題の対策に乗り出しています。
生産緑地を継続していくには次世代のなり手や、
信頼できる貸付先をどう探すかなど、
現時点では課題が残りますが、少なくとも
”全ての生産緑地が宅地で出回り大問題になる”
といった危機は先ずは一段落し、
土地価格暴落説は無くなりましたね。

企業への土地融資も変わらずされています。
投資向け収益物件に対する融資も「スルガ銀行スタイル」を除き
厳しい審査ながらも、復活してきました。

先手を打つ政策により不安が払拭され、
バブルの二の舞とはなりそうもありませんね。

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